第25章 懐玉
「……っ」
一体どのくらい気を失っていたのか。
痛む体に顔を歪ませながら、私は身体を起こした。
そして気が付いた。
そこは医務室だと言うことに。
なぜここに私がいるのかという疑問が頭の中に浮かんだ。
「起きたか、夏油」
突然の声に私はそちらを向いた。
椅子に腰かけて煙草を片手に私を見る硝子がそこにいた。
「五条が来てオマエを治療するように言ってきたんだ」
「……悟が?」
「……なぁ、夏油」
「なんだい?」
「………いや、なんでもない」
「なに。言いなよ」
「……実際に見れば私の言いたいことが分かると思うよ」
硝子は煙りをゆっくりと燻らせると、「天内って子を引き取りに盤星教に行くって言ってたよ」と、教えてくれた。
なんでそれを早く教えてくれなかったのかと言いたかったが、言わなかった。
きっと硝子には硝子の考えがあると思ったから。
「都内にいくつかあるけど、どこかって聞いてる?」
「さぁ。それは知らない」
「そう。ありがとう」
それだけ言って私は医務室を後にした。