第25章 懐玉
理子ちゃんと黒井さんを連れて急いで高専の最下層、薨星宮へと向かう。
エレベーターで一番下まで降り、その間彼女たちは悟の身の安全を心配していた。
「悟は大丈夫だよ。君は君自身の事を考えた方がいい」
「……うん」
小さく頷いた彼女の頭を優しく撫でた。
そして、薨星宮の参道に着きエレベーターを降りる。
「理子様」
エレベーターを降りたところで、黒井さんは立ち止まり頭を下げる。
黒井さんはここまでだ。
ここから先には黒井さんは行けない。
「理子様……どうか……」
本当は笑顔で見送りたかっただろう。
心残りなどなく。
だがいざ別れるとなれば、いろんな思い出が蘇ってくる。
楽しければ楽しかったほどに。
理子ちゃんは黒井さんの元へ走り、小さな身体で彼女を抱きしめた。
「黒井、大好きだよ」
親のような友達のような関係の二人。
ずっと一緒にいたからこそ、お別れが寂しい。
離れたくなどない。
力強く抱きしめあって二人は涙を零した。
私はそれを見て、彼女の選ぶ選択がどちらなのかをなんとなくわかったような気がした。
「理子ちゃん、行こうか」
「……はい」
ゆっくりと彼女は身体を離し、黒井さんと最後のお別れをした。