第25章 懐玉
なんて思っていたら、理子ちゃんと黒井さんがなにか言い合っている。
どうやら理子ちゃんは学校に行きたいらしかった。
本当は今すぐにでも高専に戻りたいところだが、理子ちゃんの気持ちを考えると学校に行きたいというのは分からなくもなかった。
夜蛾先生に電話を掛ける悟。
きっとこの件について相談しているんだ。
電話を切った悟は深いため息とともに「天内の要望には全部応えろだってさ」と少しめんどくさそうな顔をしていた。
悟の言い分も理子ちゃんの気持ちもどちらもわかるから、どうするべきかを悩んでしまう。
天元様の命令だから強制的に理子ちゃんの要望が通ることになるけど。
同化後。
彼女は天元様として高専最下層で結界の基となる。
友人や家族、大切な人達とはもう会えない。
ならば会える今、短い時間であれど一緒にいたいはず。
まだ14歳の子供なら猶更だ。
「好きにさせよう。それが私達の任務だ」
天元様が理子ちゃんに短い夢を与えているのなら、それを守るのが私達の仕事。
確かに高専に戻れば安全ではあるけど、それよりも大切なことはある。
たった一度しかない青春を謳歌しなければそれは嘘だ。
理子ちゃんの通う廉直女学院に向かい、私は外から呪霊を監視役として2体飛ばした。
何かあればすぐにでも意識で共有できる。
今のところは何も異常はない。