第1章 復讐
そして。
数日が経ったある日。
衝撃的な事を耳にした。
【夏油傑は五条悟の手によって処刑された】
目の前が暗くなるのを感じた。
何も考えられない。
真っ暗な闇だけが広がった。
お兄ちゃんが死んだ。
五条悟とかいうわけのわからない奴の手で。
私じゃなくて、赤の他人の手で。
「それ、詳しく聞いてもいいですか?」
たまたま近くにいた術師に声を掛けると、困惑した様子だったけど親切に教えてくれた。
12月24日。
兄は新宿と京都に大量の呪霊を放ち百鬼夜行を行ったらしい。
だけどそれは呪術師たちによって阻まれ失敗。
最期は、五条悟という男が兄を処刑したという。
兄は危険人物だから。
すぐにでも殺さなければいけない、と。
「その、五条悟って何者ですか」
「あんた知らないの?呪術界御三家の五条家の人間だよ。自他ともに認める現代呪術界の"最強の呪術師"。聞いたことあるだろ」
最強の、呪術師……。
最強……。
「なんでも、夏油とは学生時代親友だったとかなんとか……」
瞬間。
私は足元から奈落の底へと落ちたような錯覚に陥った。
兄が死んだこと、兄を殺したのが親友だと言うこと。
それだけが私の身体全体を支配する。