第22章 黒閃
――夏油side――
朝、目が覚めてベッドから起き上がり教室へ行く準備をした。
昨日野薔薇と喧嘩した余韻が残っているのか、身体全体が重くだるい。
清々しい朝日が窓から差し込んでくるけど、今の気分だとその明るさすら鬱陶しい。
のろのろと身支度を整え、部屋を出れば野薔薇もちょうど部屋から出て来たみたいで、お互いの視線がぶつかる。
私の顔を見た野薔薇が眉を寄せ、睨んできやがった。
はぁ?
何その態度。
そっちがその態度ならもういいし。
視線を合わせず、私は野薔薇の前を素通りした。
野薔薇の息を呑む音がしたけど、そっちが最初に最悪な態度取ってきたんじゃん。
何だよ、ムカつく。
イライラしながら、私は外へと出る。
門の前にはいつもの黒い車があって、新田明が大きく手を振っていた。
既に虎杖と伏黒は車に乗り込んでいるらしく、私は助手席へと乗り込んだ。
「釘崎は?」
「さぁ」
そう言ってシートベルトを締める。
虎杖と伏黒が顔を見合わせた。
今は野薔薇の事考えたくない。
色々思い出してムカつくから。
数分待てば、野薔薇がやってきて後部座席へと乗り込んだ。
私には挨拶じゃなくてガン飛ばしてきたくせに伏黒と虎杖には挨拶すんだ。
ふーん、あっそう、へー。
無意識に眉間に皺が寄った。
が、誰もそのことには気が付かず車は今回の目的地である場所へと走り出した。