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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第21章 諦念








「昨日遅くまで動画見たら寝坊した」
「怖い動画でも見てたんじゃないの?」
「あほか。それだったら隣に誰か置くわ」

いつ通りに。
違和感のないように努めながら。

「ねえ、授業終わったらクレープ食べに行かない?」
「あー、ごめん野薔薇。私任務があるんだよね」
「昨日任務に行ってなかった?」
「実はさ、自分の術式で試したいことがあって伊地知さんに頼んで低級の任務に行かせてもらってんだ」
「へぇ……」

ぶすっとして面白くないと言ったふうな野薔薇。
ごめん、ともう一度謝ったうえで今度遊んだ時は何かを奢ると約束をした。

この日の座学と体術が終わり、任務まで少し時間があったた め私は久しぶりにピアノを弾きにあの部屋まで行った。
ピアノの前に座り、鍵盤に手を置いて、ゆっくりと引き始める。
題名も何もない、私が弾きたいように弾くだけの名前のない曲。
今この時だけは憂鬱な気持ちを晴らさせて。
そう願いながら。

暫く弾いているとスマホが震えた。
相手は茂木から。
暗く深く重たい感情が背中にのしかかり、一気に気分が沈んだ。

ピアノの部屋を出て、私は今日も誰にも言えない秘密を抱えに出かける。






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