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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第21章 諦念







男に背を向け私は自分の部屋に戻る。
こみあげる何かを必死に抑えながら足早に戻ってトイレへと駆けこんだ。

「お"えっ!!」

口を開いた瞬間、便器の中に私の胃液が飛び散った。
喉が焼けるほど熱いし痛い。
だけどそれ以上に、頭が、身体が、心が、痛い。

胃液しか出ない嘔吐を何度も繰り返した。
ヒューヒューと喉が鳴って。
それでも気持ち悪さは拭えない。
レバーを回せば便器の中の水はぐるぐる回って流れていく。
私のこの気持ちも一緒に流せ。

9月中旬で日中がまだ暖かいとはいえ、夜になれば随分と冷え込む。
いつもは40℃のお湯で体を洗っているけど、34℃とぐんと下げた。
冷たいシャワーを頭から被って。
感覚を麻痺させた。
触られた場所も舐められた場所も吸われた場所も噛まれた場所も。
全部全部、消してしまいたくて。
麻痺さえすれば、なんとかなると思った。
なんとかなるはずないのに。
シャワーの水と一緒に零れ落ちる温度を持ったそれ。
あんだけ流したのにまだ出るか。
いっそのこと枯れてしまえ。
そうしたらこんな風に泣くこともない。
泣きたくないのに。
涙は勝手に溢れて私の弱さをひけらかすんだ。

「………っ」

五条悟に縋りたい。
助けてって。
そしたらきっと助けてくれる。

でも、もしそれを知られてしまったら。
野薔薇や禪院真紀が私と同じ目に遭う。
あいつは絶対に言うはずだ。
私のせいでこうなっているんだ、恨むなら私を恨めって。
恨まないで。
憎まないで。
ずっと笑って私と友達でいて。
そう思うのは、アイツらと過ごした時間があまりにも楽しかったからだ。





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