第19章 旅行
私は、開いた口を閉じることができなかった。
だが、話はこれで終わらない。
「バートとリンダ、結婚したの」
「えぇ⁉」
「野薔薇、それまじか?盛ってねえよな?」
「盛るわけないじゃないですか」
「野薔薇ぁ、話端折ったよな。なにがどうなって結婚したん?」
野薔薇曰く。
リンダは一度バートと話し合うことを決めたらしく、男と対面をした。
事件後のリンダの素顔をはじめて見たバートは言った。
「君は本当に綺麗だ。今でも君の事を愛している。結婚してくれないか?」と。
最初こそ拒絶をしていたリンダだったが、2か月後には結婚をしたという。
あまりにも衝撃的な事実に、その場にいる全員唖然としてしまった。
確かにこれはクレイジーラブだ。
「だから、殺す男を好きになってもなんらおかしいことじゃないわよ」
最後にそう言って。
それが言いたいがためだけに、この長ったらしい話をしたのか。
聞いているだけで疲れたし、驚愕しすぎて私の話しがちっぽけに見えて来るじゃないか。
……だから、この話をしたのか、野薔薇は。
策士だな。