第18章 術式
心の中でツッコミを入れながら、稽古場へと向かう。
昔は、恵にも稽古をつけてあげたっけ。
懐かしいな。
最近は、全然稽古なんてしてないけど、たまには手合わせしたいもんだね。
「とりあえずがどこまで理解しているか聞かせて」
「どこまでって言われても、なぁ……」
向い合せになってそう聞けば、は頭を乱暴に掻いた。
どうやって説明するかを考えているため時折悩ましそうな声が漏れる。
腕を組んで考える事数秒。
漸く口を開いた。
「私の術式は"融凝呪術"って術式で、鍵から呪力を流し込んでる。野薔薇の術式と似たような感じ」
確かに言葉にして説明すれば野薔薇と似ているかもね。
だけど決定的に違うのは。
「物質の状態を変化させる術式、って言えばいいのかな」
「うん、それで間違いないだろうね」
そこはちゃんとわかっているみたいだ。
でないと術式を使えないし当り前ではあるけど。
さて、問題はここからだ。
術式を理解していない、と言われたことで何を理解していないかを理解しようと頭を悩ませる。
術式に問題なんて一つもない。
あるとしたら自身。
しょうがない。
少しヒントをだしてあげようかな。
呪力の"じ"ぐらいは出してあげないとかわいそうだし。
「初めて僕と勝負した時、僕の言った事覚えてる?」
「……確か、変わった術式だねって」
「うわ。よく覚えてたね、そんな昔の事」
「聞いといて引くなや」
自分で言っといてなんだけど、まさか覚えているなんて思っていなかった。
だって初期の初期だし、何か月も前の事だよ。
の記憶力どうなってんの?
かの有名な小学生探偵も腰を抜かしちゃうんじゃない。