第17章 じゅじゅさんぽ【Vol.4】
「寿司だっていつだって食べれるでしょうよ。寿司が食えない日って法律で決まってたっけ?あ、クイズ?2月9日?それとも大喜利?29番、肉の日!!」
「クイズでも大喜利でもねえわ」
「じゃあ、なに?」
「………いやさ、銀座の寿司って最低でも3万くらいするわけ。知ってた?」
「知ってるよ」
「3万の飯ってお前毎日食える?」
「3万くらい普通に食えるでしょ」
雷が落ちた。
確実に私の頭上に雷が落ちた。
そうだった。
コイツ、金持ちだった。
昔からそういう飯に食いなれているから、こんなこと平気で言えるんだ。
一般家庭でしかも中学から一人暮らしをしていた私とはワケが違うんだ。
「どうしたの?」
「平等主義とはよく言ったものだ……。落差が、落差があるじゃねえか……」
「大丈夫?今日の情緒不安定過ぎない?」
「誰のせいだと思ってんだ」
「え、僕?何もしてなくない?」
全ての発言が癪に障る。
でも、落ち着け。
私は何のためにこいつを飯に誘ったんだ。
日頃の感謝の為だろう。
……この発言から感謝の気持ちが薄れてしまっているのは確かだけど、でも自分の勇気を無駄にするんじゃない。
「五条悟。牛丼ってな、一杯400円くらいしかしねえんだわ」
「うん。知ってる」
「400円って何時でも食える気しない?」
「値段の話ししてなくない?」
正論だ……。
五条悟が正論を返してきやがった。
うぐ……。
なんで私が敗北感を味わっているんだ。
金銭感覚のバグがすごい。