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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第13章 狂愛







2階の奥の部屋の扉が開いているのが見え、中へ入ると玉犬が斎藤廉と呪霊の間に入って少年を守っていた。
それでも昼間と同じで、祓っても祓っても呪霊は発生し続ける。

(……キ。……キナノ)

叫ぶような声が私たちの耳に届く。
何を言っているの。

(……スキナノ。ダイスキナノ……。アイシテルノ。ズットソバニ。イテクレルッテ……)

呪霊は泣きながらそう叫んだ。
その言葉に斎藤廉は脅えている。
「俺は、……好きじゃ……ない」と言い続け、呪霊はそれを聞き泣き叫ぶ。

(スキナノ!!ワタシハ!!タスケテクレルッテ!!)
「ぎゃうんっ」

呪霊が玉犬を弾いた。
式神を解くかと思ったけど、解く気はないみたい。

「釘崎」
「なに?」
「オマエの"共鳴り"であの呪霊を祓えないか?」

伏黒の式神でも、昼間の私の呪力を篭めた釘でも祓えなかったのに。
"共鳴り"が有効とは思えないし、欠損した対象物なんて……。

あるじゃん。

私はあの掛軸を捜した。
誰もあの木箱を手にしていない。
急いで家の中に入ったから、どこかに落としてきたのかもしれない。

部屋をでて私は玄関へと向かう。
すると、それはあった。
落とした衝撃で木箱の蓋が開けられている。
掛軸を手にし、床に広げれば絵は先ほどよりも大きく形を変えていて。

瞳は虚ろで隈のようなものがあり深く濃く刻まれている。
頬も随分とこけ、髪の毛も何もかもが衰弱しているよう。
死相に近い……。

私は藁人形と釘を取り出し、掛軸へと打ち込んだ。

「"共鳴り"!!」

瞬間。
2階の方から呪霊の叫ぶ声が大きく響く。

(イヤ……!!イヤ……!!!ハナレタク………)

呪霊の声が聞こえなくなった部屋は随分と静かで、物音ひとつ聞こえない。
聞こえるのは自分の呼吸音のみ。





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