第2章 恥辱
部屋に戻ってきた五条悟の持っていたお盆には、お粥と茶碗蒸しが乗せられていた。
どっちが食べたいか聞かれたから、茶わん蒸しと答えた。
「あーんしてあげよっか?」
「……殺すぞ」
「あはは、悪態つけるくらいは回復したみたいだね。よかった」
勉強机の近くにあった椅子に座る五条悟。
くそ寒い冗談を吐くその舌をぶった切ってしまいたい。
イライラする感情を抑え、私は大人しく茶わん蒸しを食べた。
「なんか素直なって気味が悪いね」
「病人に吐く言葉じゃねえだろ」
「あは、病人ってやっと認めた」
「……まじでその舌切っていい?それか口を縫わせろ」
「こわ~い。悟くん泣いちゃうぞ」
両手をグーにしてそれを顎に寄せる。
ぶりっこポーズをする28歳の男性の姿にドン引きしてしまう。
いろんなことを考えるとまた熱が出そうで、考えるのをやめた。
こいつが呪術界最強だとか考えるだけで熱が40度超えしそう。
「どう?お味は?」
「さあ」
「のお口に合えばいいんだけど……」
「無視」
「感想聞かせてほしいな」
「………無視」
「どうしてそんなに冷たいんだろ、だろ……」
「も、本当にうざい!!うまいよ‼だから口閉じろ喋んな死ね!!!」
いきなり大声を出したせいで頭に響いた。
ガンガンする頭を抑えながら、五条悟を睨むとそいつは満面の笑みを零していた。
そんな風に笑うなんて、思わなくて、言葉を失ってしまった。