第2章 恥辱
「嘘を言ってどうするよ。素直じゃないな、君」
「違う。インフルじゃない。私一回もかかったことないもん」
「今まではそうだったかもしれないけど、今そうだから」
まるで子供の我儘を聞いているような気分だ。
口を尖らせて「違う」と言い続ける。
違くないから。
おでこに冷えピタを張られている間もずっと「インフルじゃない。違うもん」と文句を垂れ続ける
まじで、ガキそのものじゃん。
なんでこんなに頑なに認めようとしないのか。
その時、最強である僕の脳が一つの仮定を導きだす。
「もしかして、薬飲めないの?」
びくりと、肩が動いた。
当たってんのかい。
「……飲めるし。飲めないとかないし。てか私の名前を呼ぶんじゃねえ。何回言わせんだ」
だというのに、当の本人は認めようとしない。
薬飲めないとか、まじもんのガキじゃん。
普段とのギャップに内心ものすごく爆笑していた。
文句ばかり垂れ続ける我儘じゃじゃ馬娘を抱きかかえ、彼女の部屋へと連行。
もちろん硝子からは薬とゼリーなどを貰って。