第10章 人形
公園に着けば、確かにそこにはたくさんの子供たちがいて遊具で遊んでいたり、鬼ごっこや氷鬼などをして遊んでいた。
そして敷地もすごく広い。
代々木公園程ではないが、東京ドームくらいはあるだろうか。
それより少し狭いくらい、かな。
でも少子化の進んだこの地域からすれば、広く思える。
西崎美優がいるかどうかは分からないけれど、とりあえず公園内を歩き回る。
子供たちの笑い声をBGMに適当に歩き回っていると微かに感じる違和感に、「いる」と確信。
その場所へ迷わず歩けば、やはりいた。
公園の入り口には遊具が並んでいたが、少し奥にいけば犬の散歩をする人やジョギングをする人がいる中、道脇に置かれたベンチに、彼女はいた。
友人であろう生徒も何人かいて笑っている。
「こんにちは」
彼等に近づいて挨拶をすれば「あ、昼間の」と誰かが言った。
「昼間はどうも。すごい楽しそうな声がしたから声かけちゃった。ごめんね」
営業スマイルと言えるほどの笑顔を張り付けて笑えば、中学生たちも愛想笑いをした。
どうやって懐に入り込もうか。
なんて、考えていると意外にも西崎美優の方から話しかけてきた。
「……似てる」
「え?」
「あ、いえ……」
自分の声が漏れていたことに気づいたのか、顔を赤く染める西崎美優。
どこからどう見ても人間だ。
いや、人間らしい仕草と言うべきか。
一般人なら人間と思うはずだ。