第9章 領域
五条悟は言った。
私たちは見学だと。
だったらとことん見てやる。
お前の、五条悟の戦闘を。
この目で、初めて見る、五条悟の、本来の力。
「自ら足手纏いを連れてくるとは。愚かだな」
「大丈夫でしょ。だって君、弱いもん」
あっけらかんと、さも当然と言うように言いのける五条悟の言葉に富士山野郎はぶち切れた。
ビリビリと肌を刺すその呪力量に、私も虎杖も声を失う。
弱いわけがないんだよ、こいつが。
五条悟だからそうなだけであって。
それでも私は怖気づいてはいけない。
だって、その恐怖が私の弱さだから。
この恐怖に打ち勝てなければ、私はまた友人や大切な人を失ってしまう。
そんなのはもうごめんだ。
「大丈夫。僕から離れないでね」
そう言って、五条悟は私と虎杖の頭にポンと手を乗せた。
その間にも富士山野郎は攻撃を仕掛けてくる。
いや、攻撃じゃない。
あれは――――――。
「領域展開"蓋棺鉄囲山"」
富士山野郎がそう唱えると同時に、私たちのいる空間は火山の内部のような領域へと包まれた。
術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築する―――これが、領域展開。
内部はとても高温で並の術師であれば領域内に入った時点で焼き切れるのではないだろうか。
私たちは平気なのは、五条悟がいるからだ。