第8章 修行
その後、私は伏黒を起こして部屋に戻るように言った。
文句ありげな顔をしていたけど、渋々部屋を出ていく面々。
皆を追い出した後、私は虎杖にラインを送った。
『パエリア作ったけど、食べる?』
速攻で既読がついて返事が来た。
『食べる!!!!!!!!!!』
エクスクラメーションマークの量がえげつなくて笑った。
夜、私はパエリアを持って地下へと向かった。
扉を開けると、暗闇の中テレビの明かりだけが部屋を照らしている。
目、悪くすんぞと思いながら部屋の電気をつけた。
それでもこちらを向くことなく視線はテレビに釘付け。
すさまじい集中力。
ツカモトも寝てるし。
エンドロールが流れ、虎杖は腕を伸ばした。
そして部屋が明るいことに気が付いたのか後ろを振り向いた。
「い、いつから……?」
「さっきだけど。集中力すごいな」
「え、そう……?」
「飯持ってきたけど、食う?」
「食う。流石に目が疲れた」
何度も瞬きを繰り返して目頭を押さえる虎杖。
私は、それを横目にタッパーに入れたパエリアを虎杖の前に差し出す。
自分の分は、また違うタッパーに入れてある。