第5章 特級
「駄目だ。尚更呑めるわけがねぇだろ。オマエの意思は必要ない。俺は俺の意思であいつを手に入れる」
『フンッ。手段を選ぶ余裕がオマエにあるとはな』
「……どういう意味だ」
『馬鹿め。これ以上オマエと話していたら俺まで馬鹿になる。……この条件を呑むか呑まないか。選べ』
俺の話聞いてた?
よくその選択肢を俺に突きつけることができるな。
だけどこれ以上押し問答を続けても無駄に時間を消費するだけだ。
こんな場所で、コイツと二人切りで一生一緒にいるよりはいいのか……。
「……わかった。どいてくれ。条件を呑む」
俺の言葉に宿儺は俺の背中から腰を上げた。
「何がしてぇのかよく分からんけど、まぁ生き返るためだしな」
そう言いながら、俺は油断しまくりの宿儺の顔面を思い切り殴った。
「なんて言うわけねぇだろ。無条件で生き返らせろ。そもそもテメーのせいで死んでんだよ」
そんな約束、結べるわけがない。
そんなことをしたら夏油が傷つく。
夏油の傷つく姿なんて見たくない。
あいつには笑っていてほしい。
できれば俺の隣で。
そういう風に思うのは。
夏油のことが好きだから、大切だから。
手段を択ばずに手に入れたモノに何一つ価値なんてねぇんだよ‼
『……ではこうしよう。今から殺し合って小僧が勝ったら無条件で、俺が勝ったら俺の縛りで生き返る』
「"いいぜ"。ボコボコに――――――」
言い終わる前に、俺の意識は途切れた。