第5章 特級
「特級相手に、しかも生死不明の5人救助に一年派遣はあり得ない。僕が無理を通して悠仁の死刑に実質無期限の猶予を与えた。面白くない上が僕のいぬ間に特級を利用して体よく彼を……あとはリトだろうね。この二人を始末ってとこだろう。他の2人が死んでも僕に嫌がらせができて一石二鳥とか思ったんじゃない?」
「いや、しかし派遣が決まった時点では本当に特級に成るとは……」
五条悟と一緒にいるのは伊地知さんか。
部屋の外で盗み聞きしているけど、これ聞いてもいい話だったのか。
だけど、五条悟の言葉で納得がいった。
私もおかしいと思っていた。
何か裏があると。
私と虎杖を始末するためだったのか。
結果、私は運悪く生き残って、虎杖は計画通りに死んだと。
私たちはお前らの駒じゃねえんだよ。
「犯人探しも面倒だ。上の連中、全員殺してしまおうか?」
どすの効いた声に、私は肩が震えた。
目の前にいない私ですらビビったんだ。
伊地知さんなんて死んだんじゃないか、大丈夫かな。
ちらりと部屋の除けば、伊地知さんは死んではいなかったが、小さく縮こまっていた。
私は意を決して中へと入る。
「伊地知さんをいじめんな。この人が悪いわけじゃねえだろ」
「、怪我は?」
「唾つけときゃ治る」
「んなわけないでしょう」
後から来た家入硝子が私の背中を軽く叩いた。
ただの強がりって事は、ここにいる大人全員に見透かされているとわかっていても性分なのだから仕方ないだろう。
「五条、珍しく感情的だな。随分とお気に入りだったんだな、彼」
「僕はいつだって生徒思いのナイスガイさ」
生徒思いのナイスガイ……。
出そうになった悪態を咄嗟に飲み込んだ。
今そう言う空気ではない。
「で、コレが。宿儺の器か」
家入硝子は、布の被せてあるベッドへ行くとその布をはぎ取った。
ドクンと、心臓が大きく脈打つ。