第4章 対面
「私のお兄ちゃん、犯罪者なんだよ。無実の人間をたくさん殺した。だからみんな怖がってる。私もお兄ちゃんみたいに大量虐殺するんじゃないかって。蛙の子は蛙って言うだろ。それと同じ。だから危険分子は排除するために私も死刑宣告を受けた。五条悟が取り消してくれたけど」
自分で言ってて悲しくなってきた。
私は私でありたいだけなのに。
私と虎杖のやり取りを少し離れた場所で見ている五条悟の表情は目隠しでわからない。
一体どんな顔をして私を見て、一体何を思っているのだろうか。
あーあ。
これで友達をまた失ったぞ。
最近はあの2年ともうまくやれていて、伏黒とも友達とまではいかないけどいい関係を築けていたのに。
なんか、こっから崩れていきそう。
そんな風に思ってると、虎杖はすごい間抜けな顔をしていた。
今の話聞いてよくそんなあほ面できんな、って心の中で呟いていたら。
「夏油は夏油だろ」
瞬間。
私の中にわだかまっていた何かが一気に晴れた。
気がした。
「何が同じなのかさっぱりわからん」
ガシガシと髪の毛を掻く虎杖は、どこまでも真っすぐだった。
溢れそうになる涙をこらえ、唇を強く噛んだ。
ずっとほしかった言葉を、会ったばかりのこいつはくれた。
嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。
誰かに認めてもらいたかっただけの私の小さな願望を、虎杖はなんの躊躇いもなくくれた。
「お前が聞いてきたんだろうが」
「あ、そうだった」
「ほら、行くぞ。日が暮れる」
胸に広がる太陽のような温かさを忘れたくなくて、知られたくなくて、大事に心の奥底にしまった。
そんな私たちを五条悟が面白くなさそうに見ていたのを知らずに。