第1章 異変は突然に
「皆さんどうもこんにちは、ヒカックです!」
と言うヒカックの元気な挨拶から始まる撮影。
今回はアツクラワールドだ。コハロンはしばらく海外に行っていたから、久々に四人揃う撮影である。
「それで今日やることなんですが……」
一通り挨拶を終えると、ヒカックがそう言うなりコハロンの方へ視線を投げた。見るとぎぞくもぽんPもコハロンを見つめている。
「コハロンさん、何してるんすか」
「え?」
ヒカックの言葉の意図が分からず、コハロンはきょとんとする。この前海外行ってたけど、その話だろうかとコハロンが思っていると……。
「まず、一旦見てもらった方が早いんじゃないか?」
とぎぞくが言う。なんだろう。俺なんかやったか? とコハロンは呟いた。
「この人は見てもらうまで分かんないと思うんで」
そう言うぽんPの冷ややか言葉にコハロンはしっかり拾って怒りを返したが、それでも現場とやらに向かってもコハロンはよく分からなかった。まえよん一行は橋の下にあるコハロンの家の前に集合した。
「コハロンさん、ここまで来ても分かんないですか?」
「いや、何も……?」
ヒカックに改めて切り出されるがコハロンは本当に心当たりがない。とぼけている訳ではない。本当に分からないのだ。
「じゃあ……開けてみて下さい」
「はい」
ヒカックに促されるまま、コハロンは自分の家の前に立つ。そこまで来てようやく、ピンク色の何かが見えた。コハロンは一度、ヒカックたちを振り向いた。