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秋の夜に置いてきた恋【イケメン戦国】

第2章 芽生える恋


☆秀吉目線☆


さくらが城に来てから、早くも1年が経った。

当初、拾った時はどうなることかと思ったものだ。顔は真っ青で、生気のない目をしていた。死ぬつもりだったのは、一目瞭然だった。


城に住まわせてからも、最初は心配だったが、よく働き女中たちとも打ち解けているようで、問題もないさそうだ。


二人の時は、小遣いを渡していたが、無駄遣いしたりする様子はなかった。いきなり欲しいものなど思いつかないのかもしれない。


あまり気に留めていなかったが、最近、紅を買ったのだろう。

大事そうにいつも懐に持っていた。
髪結いなだけに、しっかりと髪を整え、薄く化粧もするようになった。

以前はろくに飯も食えず、やせ細っていたが、今では健康的になり、体つきも変わってきた。たった一年で子供のようだった姿が、大人の女性へと変わりつつあるのを感じた。


家臣たちの間でも、さくらは密かに人気があると耳にした。


しかし、どうやら極端に男嫌いらしく、周りの女中がさくらの間に入りあしらっているらしい。

まぁ、それも仕方のないことだ。彼女の過去を思えば。


恋仲でもできれば少しは変わるのかもしれないと…世話をする兄貴のような気持ちでいたが、出来た所を想像するとそれはそれで心配なのか、あまり気分が良いとは思えなかった。


こないだ自室で、泣いてしまったさくらを抱き寄せそうになった。
それが出来なかったのは、それだけでは止まらないかもしれないと本能的に思ったからだ。


上杉軍との戦いに備え、光秀が仕入れた近くの大名の謀反の芽を摘んでおかなければ。

お館様を守るため、気を引き締めねばならない。さくらのことは一旦頭から追い出し、軍議へと向かった。
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