第15章 誓い(秀吉編)
大名討伐の日が近くなり、政務で外に出る事が多くなった。
なかなか会えなかったので話そうと部屋で待っていたが、既に子の刻を過ぎようとしていた。
もてなしを受けた秀吉が家臣に連れられ、酒に酔って部屋に帰って来た。
秀吉はもういいと、部屋の前で家臣を追い払うと、部屋に入り驚いた様子でさくらを見つめた。
秀吉「どうした?」
さくら「いえ、今日はもう大丈夫です。部屋に戻りますので、秀吉様も、もう寝てください」
正座してた所から立ち上がると、そのまま、抱き締められ、押し倒された。
思わずさくらは秀吉をつき飛ばした。
秀吉「す、すまん」
顔を洗ってくると立ち上がり部屋を後にした。
さくらは黙って戻ってくるのを待った。
秀吉「まだいたのか。もう寝ろ」
さくら「どういうおつもりですか?」
秀吉「ごめん。」
秀吉は頭を下げた
さくら「はぁ~」
大きなため息をつくと秀吉の前に座り込んだ
さくら「私をどう思っているのですか?」
秀吉「なんでそんな事を聞く、大切に思っている、さっきは悪かったと…。」
さくら「ちゃんとご自身と向き合ってください。最近の秀吉様は変です。今度の大名は戦には強くありませんが、そんな腑抜けた状態で行き、足元を救われたらどうするんです?」
秀吉「今度の大名討伐と、お前に何が関係ある?」
さくら「か…関係あるでしょうが!!!あなたが天下統一を成す方だと、身の程をわきまえ、恋する気持ちを捨ててあなたの傍にいる道を選んだ私は馬鹿者ですか?どうしたら秀吉様の気持ちが晴れるんですか?その為に私が出来るこ…!?」
腕を引かれ、さくらは秀吉に強引に口づけられた
(…ん)
腕を引く秀吉の力は強いのに、あまりにも優しくて柔らかくて温かい唇に溶けそうだった。
秀吉「…俺は、あの夜、政宗の部屋に行ったんだ。でも、お前を連れ去る資格がないと逃げ帰ったんだ。政宗が、お前を救った。その時、お前を幸せにするのは、政宗だと思ったんだよ。それが情けなくて、でもあの夜を想像したら、悔しくて、それに、もしさくらが俺のそばからいなくなるかもと想像したら辛かった」