第13章 見送り(秀吉編)
政宗の部屋に近づくと、もう遅かった。
中からさくらの喘ぐ声が聞こえてしまった。
奴隷として酷い扱いを受けてからさくらは俺以外の男を穢いという目で見ていた。失礼になるとわきまえて表には出さないようにしていたが、明らかに男を避けていた。
家臣と言葉を交わせるようになっただけでも進歩したと言える。男に好かれる事も嫌がっていたのは、欲の対象にされるのが怖かったのだろう。
恋仲でも出来ればなんて思ったこともあったが、心のどこかで、さくらは誰のものにもならないと高を括っていたのだ。
ところが、さくらが政宗の前で乱れているのが分かり、膝から崩れ落ちた。
早くその場から去りたいのに、去れない。
悔しいが、体が熱くなるのを感じた。
しかも、さくらが自分の名を呼んでいるのだ。
さくら「秀吉様イイ!…っあっ、ん。もっときてぇ」
頭がおかしくなりそうだった。
嫉妬と、情けなさで泣きそうだった。
さくら「秀吉様…愛してる…」
辛すぎてその場を去った。
(さくらの気持ちも踏みにじってしまった。)