第10章 宝物(政宗編)
☆政宗目線☆
秀吉の態度と言い、何かと気になる事はあったが、やっとさくらと2人きりになれた。
会えなかった分やけに素直だし積極的だ。
土産の酒でもと準備した瞬間
さくら「あなたの子を…授かりました。」
と告げられた。
その瞬間、鳥肌が立った。
心の中がムズムズして、緊張した。
「…本当か?」
さくらは強く頷いた。
嘘をつく女では無いことは知っている。
さくらの温かい体に触れると、妙に実感が湧いてきて嬉しさが溢れてた。
「さくら…お前が俺の子を授かっているとは…なんて尊いことだ!」
さくらが「ぅ、嬉しいですか?」と聞いてきた。
嬉しいに決まってる。
政宗「当たり前だ!!!」
さくら「卑しい生まれの私が望んでも良いのでしょうか?愛するあなたの子を産みたいと。」
さくらは、目からポロポロ大粒の涙を見せている。
政宗「そのような事を今後口にするな。生まれなど気にする事ではない。」
(そうか、きっと俺がどう思うか不安な気持ちだったのだろう。秀吉の態度もそのためか。)
政宗「どうしてこんな大事なことをもっと早く言わなかったんだ?秀吉と出来てしまったのかとちょっと心配したんだぞ。」
追い詰めないように問いかけた。
さくら「妊娠は最近気づいたのです。秀吉様は私にとって特別で大切なお方ですから。妊娠を告げた時も、私を囲う覚悟はあると仰って下さいました。政宗様への信用がない訳ではなく私を安心させたかったんだと思います。」
またこいつは俺を無意識に煽ってくる。秀吉がそんなことを…。
少し嫉妬心が生まれ、さくらに口付けた。
「俺の子なのに、先を越された気持ちだ!これからはお前と、この子を俺が守る。案ずることはない。」
腕に絡みつきながら俺の肩にさくらが頭を寄せて来た。
さくら「秀吉様は特別ですが、恋焦がれる気持ちはもうありません。あの夜政宗様に心を救われました。政宗様と離れるのが寂し過ぎて見送りもしなかった私に文を書いて下さり、好きな気持ちが大きくなりました、秀吉様も私が幸せになる道を選べと仰って下さいました。あなたのお傍にいさせてください。」
俺は初めてこんな気持ちにしてくれたさくらを一生幸せにすると誓った。