第10章 宝物(政宗編)
さくらは胸の鼓動を感じながら、腹をさすりながらゆっくりと告げた。
さくら「実は…月のものがきていません…政宗様の子を授かったかもしれません。」
秀吉は驚きの表情を見せることなく、少しの間考え込み、やがて静かに口を開いた。
秀吉「そうか…。さくらが政宗の子を…。」
そして立ち上がると、さくらの隣に腰をおろし、横から腰を抱き支えて言った。
秀吉「さくら、もしもお前が望むなら…俺がお前と、この子を囲ってもいい。」
秀吉はさくらを真剣に見つめていた。
その言葉に、さくらは驚きで息を飲んだ。
秀吉の言葉は本気だった。彼の目に浮かぶ深い愛情は、さくらを動揺させた。
さくら「秀吉様…どうしてそんなことを…?」
秀吉「さくらが俺にとって、ただの侍女じゃない事はお前も分かっているだろう。お前が幸せでなければ、俺は安心できないんだ。政宗がどうするかは別として、俺はお前とこの子を守る責任がある。」
深い愛情からくる秀吉様の言葉に、不安が一気になくなった。
さくら「秀吉様…ありがとうございます。なんだかホッとしました。過去に体を散々痛めたので子は望めないかと思っておりました。子を産んでも良いのでしょうか?」
秀吉様は静かに頷いた。「あぁ。そういう選択肢もあるとお前を安心させてやりたかったんだ。政宗ならきっと喜んでくれるだろうから、お前が幸せになる道を選べ。政宗も明後日来るし調度良かったな。」
さくら「秀吉様…。ありがとうございます。政宗様にお伝えする覚悟が生まれました。」
秀吉「後お前、茶はしばらくダメだぞ。白湯を飲め。それから足袋は二枚はけ。足から冷やしたらダメだ。今から女中に湯たんぽを持たせるから…後仕事は今日からするな。命令だ。」
と急に説教くさくなってきた。
さくら「秀吉様ったら…」
さくらは笑いながら涙を自分の指で拭った。