第9章 告白(政宗編)
☆政宗目線☆
奥州に帰ってから、さくらに文を送ったが返事はない。
「送れば、お返事を急かしているようで、政宗様のご負担になるかと思い…」とかあの女の言いそうな事だ。
相変わらず俺の神経を無意識に逆撫でしてくるが、不思議と嫌じゃなかった。秀吉の使いが来た時にそれとなく聞いてみた。
政宗「例の事件を起こしたさくらはその後どうしてる?」
秀吉の家臣「はっ、さくら殿は、あの一件以来、信頼も上がり、秀吉様の一番傍で身の回りの世話をしてます、秀吉様があまりに可愛がっておられるので私たちは基本近づけないのです」
政宗「想像できるな。」
秀吉の家臣「ただ、男嫌いなのに恋仲が出来たのでは?と最近家臣たちがもっぱら噂しております。」
内心ドキッとしてごくりと唾をのみ込んだ。
(秀吉とか?)
秀吉の家臣「というのも…さくら殿はいつも肌身離さず文を持ち歩き、ことあるごとに眺めてはにやにやしながら月を眺めているご様子で。」
やれやれ、これだからあの女は…。
にやけた顔で文を読む姿がありありと目に浮かび、結局また文を書いてその家臣に預けてしまうのだった。
政宗「新年明けたら信長様にご挨拶に伺うから伝えてくれるか?」
家臣「ハッ。ご滞在はいかほど」
政宗「2~3日の予定だ。よろしく頼む」
さくらに酒を持って行くと約束した。
俺は飲めないから、家臣に選ばせて上等なものを持って行こう。
光秀にばれぬようにしないと、全部見透かした上で「一緒に飲むぞ!」等と言い出しかねん。
最近、城下で見つけた簪も買った。
どんな反応をするか楽しみだ。
新年の挨拶に…など、表向きの理由をつけてさくらに会いたい気持ちは日ごと増していった。
縁側に出ると、空気が澄んで満月が綺麗に見えた。
あの日さくらの瞳に満月が映っていたな…。
などまた思い出に浸ってしまった。
あの夜言われた一言が耳に残っていた。
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さくら「もう一つ秘密を共有しても良いですか?一実は………途中からずっと政宗様だけを感じて求めていました。私は政宗様に抱かれたいのです。だからもう一度」
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白い息を吐き、思わず「さくら」とつぶやいた。