第9章 告白(政宗編)
さくら「私は秀吉様に心配されたいんじゃなくて、女として見て欲しかったです。」。
秀吉「…えええ!!!」思わず声を上げた。
その後黙り込んだ。秀吉は、今政宗への想いを告白したかと思えば、さらりととんでもないことを言い出すさくらに、頭が混乱していた。
さくら「そんなに困ったお顔をしないで…。今日は自分の想いを素直に伝えようと思います。私は秀吉様が好きでした。恩人として…とか、兄のように…ではありません。秀吉様が朝元気そうな様子を見るとそれだけで私も元気になりました。戦に行かれる時は心配で、飯も喉を通らず、帰ってくれば城が鮮やかに色づいて見えました。秀吉様がどこにいるかいつも気配を探して、かけてくれる言葉に胸が熱くなって…。寝る時には秀吉様のお顔が浮かびました。初めてでもこの気持ちは恋だと、気づいておりました。」
秀吉「さくら、待て。」
(俺を好きってなんだ?政宗は?え?)
秀吉の言葉を待たずにさくらは続けた。
さくら「秀吉様とどうにかなるなどとはなから考えてはおりませんでした。でも、あの事件の日、無事で良かったとこの手で秀吉様を抱き締めたかった。秀吉様に「大丈夫だ」と言って、朝まで一緒にいて欲しかった。でも傍にいてくださったのは政宗様でした。そして、私の秀吉様への気持ちも理解し全てを受け止めてくださいました。だから前を向けたのです。」
秀吉(なんと俺は情けないんだ。あんな事件があって不安だったのに、俺以外の奴にさくらを任せてしまった。)
秀吉「さくら…。すまなかった。」
さくら「秀吉様が謝る事は何もありません。責めているつもりもありません。私が政宗様をお慕いしているのは、あの夜政宗様が私の心を守り救ってくれたからです。」
秀吉は、膝の上にある拳を強く握りしめた。
(もう遅いのか?今抱き締めたらダメだよな?あの夜の埋め合わせにはならない…)