第3章 裏切りの香り
(調度良いところに!)
通りかかった政宗にあおいの人柄も尋ねてみた。
政宗「なんだ?急に。女中一人一人についてなんてよく知らんが、あいつは常にさくらとべったりだな。」と答えた。
光秀は思考を巡らせる。
―そもそも秀吉に復讐するのだろうか?矛先は信長様や俺の方じゃないか?思い当たる節がありすぎる。
―仮に秀吉に復讐するとしたらその手段は…。秀吉が大切にしているさくらに危害を加えようとするかもしれん。
とにかく裏を取らねばな。
光秀「政宗、すまんが、その二人をしばらく気にかけておいてくれ」と、光秀は頼んだ。
政宗は声をひそめた。「やっぱり何かあるんだな?」
光秀は少し間を置き、口を開いた。
光秀「今は詳しくは言えんが、秀吉の身が危険かもしれん。さくらは食事に毒が入らないか気にしていたのだろう。」
政宗「おおよそ事情は把握した。俺が厨房にいれば毒が入る事はない。膳を運ぶ人間を選べばいいし、毒見役もいるから秀吉の口に入る可能性はないに等しい。それより秀吉には伝えないのか?」
光秀「秀吉は近隣の大名討伐に備えて最終調整中だ。余計な心労をかける必要はない。あいつ自身、向かってくる敵には一人でも対処できるだろう。ただ、俺たちが用心しておくに越したことはない。」
さくらは今朝、廊下で見かけた時、ふらついていた。心身の疲労が限界に近い。
光秀「少し休ませてやらねばな…」