第3章 裏切りの香り
さくらは友人を売ることはしたくなかったが、もしも…現実になった時、自分に何ができるのだろうか。
あおいのような、か弱い女が一人、短刀を握って秀吉様の部屋に押し入るなど不可能ではないだろうか?
さくら自身も、秀吉様がやられるとは到底思えなかった。
むしろ、あおいが死ぬ確立の方が高そうだ。
そんな事が分からないあおいでもない
だからこそ、1年半以上準備してきてるのかもしれない。さくらは疲れきった脳で考えた。
さくら(明智様に相談するか…。)
なんとなく、この手の相談をするのならばとさくらは直感で思った。
直接お話するような方ではないが秀吉様の命には代えられない。
さくらの心は揺れ続けた。
ただの勘で、あおいに酷い処罰が下ってしまったら。そんな不安で動けないままだった。
ここのところ眠れない夜が続きさくらは、苦しんだ末に光秀の部屋に足を運び、慎重に口を開いた。
光秀「どうした?俺に何か用か?」
さくら「お耳にいれたいことがございます。噂ですが、家臣の中に秀吉様を恨んでいる者がいると聞きました。確証も証拠もないのですが、警備の強化や、警戒を促すことはできないでしょうか?大事な時期ですので、秀吉様が心配なのです。」
さくらは出来る限り抽象的に曖昧に状況を伝えた。
すると、さくらの意図を見透かしたかのように、光秀が鋭い目で問いかけた。