第8章 甘いお仕置き
太宰「ふふ、今日は素晴らしい1日だ!これで死ねたら最高だよ!」
隣でルンルンし乍ら物騒なことを云う彼に呆れ乍らも街を歩く。
彼と知り合って2年経つが、未だに彼のことは理解できない。
でも、、、、彼が寂しがり屋であることだけは知っている。
あの夜のことは今でも忘れられない。
2年前、彼が探偵社に入って間もない頃だ。
この日はたまたま仕事が早く終わったこともあり、探偵社に寄ったのだ。
事務所にいたのは彼だけだった。
太宰「やぁ!ちゃん!!私に逢いにきてくれたのかい?」
微笑み乍ら、私の手をそっと掴みとり、いつもの如く口説いてくる彼に、違うと伝える。
太宰「冷たいなぁー。ちゃんだけだよ?私に落ちてくれない女性は!」
"もう少し真面目になったら見直すかも。"
確かに太宰くんは顔も格好善く、背も高くスタイルも善い。
口が上手く、女性も彼を放っておかないのも判る。
でも私は太宰くんが少し苦手なのだ。
何故ならあの日、彼を助けた日に云われたのだ。
太宰「君も死にたいのかい?」
彼の目は全てを見通しているかのようだった。
それが少し怖かったのだ。
太宰「ねぇ、ちゃん。今日食事でも行かないかい?」
珍しいお誘いだった。
いつも口説かれるが、食事などに誘われたことはないからだ。
この後は特に予定もないし、太宰くんへの苦手意識を克服するチャンスだと思いOKを出した。
太宰「ちゃんお酒強いね!あのチワワとは大違いだ」
"チワワ??"
太宰「前の同僚さ、小さいくせにキャンキャン吠えるのさ。」
太宰くんとの食事は案外楽しかった。
この食事がきっかけで彼への苦手意識も自然と無くなった。
久しぶりにお酒を呑んだこともあり、少しほろ酔いだった。
今は2人でヨコハマの街を歩いている。
太宰くんが少し風に当たりたいと云ったからだ。
"今日はありがとう、楽しかった!"
太宰「ふふ、私も楽しかったよ。」
"どうして誘ってくれたの?"
太宰「今日だけは君にそばにいて欲しかったんだ。」