• テキストサイズ

人魚姫 【文スト/中原中也】

第5章 初めてのデェト


「よぉ、タケル。来てやったぜ!」

タケル「あっ、中也!!待ってたよ!!」

あれから数日が経った。
あの事件から中也くんには逢っていなかったので、お礼もなにも云えていない。

組合に捕まっていた時に知らない番号から何件か着信があった。

もしかしたら中也くんかも、、、、。

なんて淡い期待をしていたが、結局その番号にはかけられなかった。

まぁ電話をしたところで私は話せないし、中也くんでなければ迷惑でしかない話だからだ。

そんなこともあり、彼にお礼を云えずにいたのだった。


"中也くん、あの時は本当にありがとう。身体の具合はどう?"

「俺は見ての通り問題ないぜ?それより手前こそ大丈夫か?」


"私も大丈夫!"

そう彼に伝えると腕を掴まれた。

「跡残ってんじゃねぇか」

彼は私の腕や足、首元に目をやり、心配そうな顔をする。

"少し跡が残ってるけど、そのうち消えるから大丈夫だよ?"

「だが、、、、。」

"中也くんが来てくれてなきゃ、あの時死んでたかもしれない。だからこれくらいの傷どうってことない。"

「っ、、、、。次手前になんかあった時は絶対にすぐ助けてやる。約束だ。」

"ありがとう。"

今頃になって、掴まれている手が熱くなり、鼓動が早くなった。

彼は私をどんな風に想ってくれているのだろう。

私と同じ気持ちでいてくれたらいいな。

なんて思う一方で、、、

きっと優しい彼のことだから、ただ本当に心配してくれているだけなのだろう。


そう冷静に考えるようにして、気持ちを落ち着かせるようにした。


「これ俺の連絡先だ。なんかあったらいつでも連絡してきてくれ。」

渡された名刺には電話番号とメールアドレスが記載されていた。

その番号を見て、ハッとした。

やはりあの時の着信は中也くんだったのだ。

それが嬉しくて堪らなかったが、なんとか冷静を装った。

"ありがとう、後でメール送っておくね!"

「ああ、頼む。」


タケル「中也ーっ!!」

「ああ、すぐ行く!、、、じゃあ行ってくるわ」

『ッ!!』

驚いた、中也くんは手話を使ったのだから。
得意そうな笑を浮かべる彼に、私も自然と笑顔になり彼に手話で伝えた。

"いってらっしゃい!"っと、、、、、。





/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp