第3章 跳梁跋扈
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暗くなった街をぶらぶらと一人歩く。怪しげな勧誘や、しつこい客引きなどを避わして。
進んでいくうちに人はまばらになり、ついには誰もいなくなってしまった。だがしかし、目の前にスキップしながらケータイの画面を見る男の姿。
嫌悪たっぷり、殺意たっぷりの私の視線に気が付いたのか、その人は振り返るとケータイをしまいながら私へと歩みよった。
「遅かったね。何してたの?買いもの?誰かと待ち合わせ?ま、シズちゃんじゃないことを祈るよ。」
「静雄じゃなかったらいいんだ。」
「もちろんダメ。」
臨也は私のポケットからケータイを取り出すと自分のポケットへしまう。使っていないというのに。
「影武者にしたことまだ怒ってるのかい?君ならあの自販機ぐらいなんてことないだろう。その一振りで斬れちゃうんだから。それにサイモンが出前に出ていたのは知ってたしね。」
私はずっと怒っているのが疲れる。だから、今回もまた軽く頷き許すとまでは言わないが、もうそのことはそれで終わり、という風に切ってしまう。
「…そう言うとこが嫌いなんだよ。ま、君の好きな店にでも寄って行こう。何でも好きなもの買ってあげるから。」
その言葉の意味は、これからも俺の為に働くこと。
見えない糸に捕まっているのは、私だけでいい。
それでいいんだ。