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河川敷の長靴

第1章 目の前の友人は、怖い話を始めた。


でも、幽霊が長靴を脱がないことには何も始まらない。


「ながぐつ、ぬいでよ」

「脱げない」

「なんで?ながぐつぬがないと、うごけないよ」


タイキくんが説得するけど、幽霊は全然脱いでくれない。

しだいにイライラしちゃって、タイキくんは長靴を掴んだの。
そしたら、長靴はあっさり幽霊の足から脱げたんだって。
どうあがいても動かせなかった長靴は、タイキくんの手に掴まれていた。
さっきまで立っていた幽霊は、尻餅をついていた。


「か、返して、長靴……!」


幽霊は泣きながら、タイキくんに長靴を返すように頼んだの。
でも、タイキくんは全然返してくれなかった。
返せなかった。
幽霊の足首から先が無かったから、タイキくんはビックリして動けなかったの。

足が消えているとか、そういうのじゃなくてさ。
切断されてたんだって。
何度も何度も刃物を当てられたのか、切り口がガタガタしていて、中身が見えてんだって。
肉の筋とか。
血の付いた骨とか、なんなら骨の中とかも。
長靴に重みを感じて、中を見てみたら、血塗れの足が入っていたとか。


「ご、ごめんなさいっ……!」


タイキくんは謝ったの。
いっぱい、いーっぱい謝った。

泣いている幽霊に謝って、長靴を返した。
幽霊は靴を履くみたいに、長靴に脚を入れたの。
そしたら、また今まで通り、その場に両足で立ったって。
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