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河川敷の長靴

第1章 目の前の友人は、怖い話を始めた。


長靴がセメントで固められているとか、中にめちゃくちゃ重い物が入れられているとか、地面に一部が埋められているとか、そういうのじゃないの。
すごいよね。
台風の風でも飛ばされていなかったくらいだし……
結局長靴は、そのままにされたの。

あ、そうそう。
あの長靴が置いてあるところだけは、どんな動物も近付かないんだって。
カラスもスズメも、散歩中の犬も。
……不気味だよね。


「ながぐつだ!」


そんなある日、小学校にあがったばかりの男の子が河川敷に遊びにきたの。
その男の子の名前はタイキくんっていってね。
外で遊ぶのが大好きで、その日はお兄ちゃんと遊びにきてたんだって。
タイキくんはさっそく、青い長靴を見つけたの。


「ねぇ、おにいちゃん!ながぐつがあるよ!」

「ホントだ。誰かの忘れ物かもしれないから、触っちゃダメだぞ」

「うん、わかった!」


タイキくんは元気よく返事をすると、お兄ちゃんとサッカーで遊んだんだって。
日が暮れるまで遊んで、クタクタになった二人は、暗くなる前に帰ることにしたの。


「……あれ?」


お兄ちゃんの後ろをついていくように歩いていたタイキくんは、長靴が置いてあった場所を見て不思議に思ったらしいの。
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