第1章 おねがい
「“フリ”ってさ……
俺は夢ちゃんにどこまでシていいの……?」
「……へ……?」
呆気に取られた。
同時に、顔に熱が一気に集中する。
完全に恐怖な展開を覚悟していたから、拍子抜けして座り込みたくなるくらいだ。
「な、なに初っ端から!!やらしいこと考えてんなら結構です!!!!」
「にゃっはは♪照れた顔も可愛いね♪
俺ね、誰とも付き合ったコトないから、そーゆー距離感が解んないの。」
なんだかもうこの人に、申し訳なさすら感じる。
自分の言い出したことに、とてつもない恥ずかしさも。
でも、整った顔と明るい性格でモテそうなのに、交際経験はないんだな。
「カレシのフリをするって、周りに俺達の交際を認識させたいってコトっしょ?」
「うん、まぁ…。」
「じゃあ誰が見ても、俺らが付き合ってるって判らせないとじゃん?付き合えば手繋いだりとかするんでしょ?」
「まぁ、一理あるかも…?」
「たとえば“ニセ彼氏”の俺がチューなんてしちゃってもいいのかな?ボーダー決めとかないと止まらなくなるかもよん?
なんなら今、試しにナイストゥーミーチュウする?」