第1章 おねがい
「!!??」
一瞬冷静になりかけてた頭が、また一瞬で混乱する。
目を細めて口角を上げた、ニヒルな表情。
…恥ずかしくて死にそうだ。
交際経験ないって、距離感解らないって、ホントかな。
やっぱり確信犯……!?
「にゃはっ♪じょーだんだって!マジメさんだなぁ♪とりま、手繋ぐまでOK?」
「ぐっ……お、OKです……。」
なんだか逆に、うまく絆されてる気がするけど……
「いいね!いいね!面白くなってきたぁ!今日ここで昼寝して良かったぁ♪」
なぜか喜んでる、という。
でも、悪い人ではなさそう……?
偶然会った人に頼むなんて、突拍子もないことをしたけど。
良い人(?)と出会えて良かった、と安心できたことをこの人に感謝した。
「それと!“ニセ彼氏”やる条件!昼休みの昼寝席にここ使わせて?」
……そういうことか。
それくらいならと、私は条件を飲んだ。
こうして私と蜂楽は、妙な関係をスタートさせた。
「あ!壁ドンオプション、ごちそーさまでしたー♡」
「(え!?オプション制度追加されてる!?)」