第8章 だいじょーぶだよ
「俺、チームの足引っ張るから“お前なんかいらない”って子供の頃から言われ続けてきた。
ドリブルテクへの嫉妬もあるんだろね。現に今日も負けて、全国行き逃したし。」
私は、蜂楽の肩に乗せた頭をスリスリ動かした。
“だいじょーぶだよ”って、もう一度伝えたくて。
「だから、俺のサッカーを理解ってくれる“ともだち”なんていなくて……
このままずっとひとりぼっちだったらって考えると、時々すっげー怖くなって……
死んじゃいそうなくらい、寂しくなる。」
蜂楽が私に初めて見せた“闇”の部分。
話してくれて嬉しい。
でも私はまだ……
あなたに何も、話せてない───。
「だから俺、毎日夢ちゃんと一緒に帰る条件を出したんだ。
今日みたいに潰れそうな日、あるから…。」
その“条件”の意味がずっと解らなかったけど
いま、腑に落ちた。
「なら今日も一緒に帰りなさいよ。意味ないじゃん。」
「……だって。」
「だって何?すっごい心配したんだから。」
「……ピッチから見えた。夢ちゃん、部下メガネと一緒に座ってたじゃん。」
「部下メガネ?あぁ、蝶野くんのこと?」
これって、もしかしてヤキモチ?