第7章 自由の才能
「それと、あのSNSの件ですが。」
「あっ……うん。」
「コメント見てると、“別に良くない?”とか“お幸せに”とか割と肯定的なものが多いですが。
誹謗中傷も少数あります。エゴサしないで下さい。」
「あ……そうなんだね。わざわざありがとう。」
投稿があがって以来、
“SNS見たよ!もうヤッちゃった?”
“あの文章は酷いよね。まぁ続くと良いね。”
“顔はカワイイけど、変だって有名だよ?”
クラスの人や顔見知りに、好き勝手に言われた。
本格的に誹謗中傷したい人は、直接じゃなくネットに書き込んでるんだろうか。
どちらにしろ、無責任に蜂楽のことを悪く言う人にモヤモヤする。
「父が言ってました。最近ネット事案、増えてるらしいです。父の仕事のあんばい見つつ、削除依頼のこと相談してみますよ。」
「え、なんで…?なんでそこまでしてくれるの?」
「どこかのバカップルのこと、応援したくなったんじゃないですかね。」
蝶野くんは長身の上体を前に屈めて、脚に肘立てをする体勢になった。
表情を隠してるようで、なんだか微笑ましかった。
「ありがとう。これからもよろしくね、副会長。」
SNSの投稿、そして帰り道に私を尾けてきた人は…
蝶野くんじゃない。
彼はぶっきらぼうでドライだけど、素直で良い人だ。