第7章 自由の才能
サッカー楽しいけど“つまんない”っていうのは、
周りと蜂楽のレベルが、合わないってことなんだ。
確かに蜂楽のボール捌きは天才的だ。
現実かフィクションか、判らないくらいに。
たぶん普通にやっても難しいだろうことを、
片手が塞がれた状態で平然とやってる。
高校の部活レベルで測れる選手じゃ……ないのかも。
「だから俺ね、サッカーしてる俺を、チームメイトじゃなく夢ちゃんに魅せたいんだ。俄然ヤル気になっちゃう♪」
ニコッと笑った蜂楽の笑顔は、少年らしいあどけなさが残る。
この表情には、いつもキュンとする。
フィールドに出ている蝉川を目にするのは、怖い。
最悪、また過呼吸になるかもしれない。
でも、サッカーを楽しむ蜂楽の姿を見ないことは
友達として、惜しい選択なのかもしれない。
「観に来てプリーズ♪」
温かくて柔らかい唇が、頬に触れた。
「あ…!」
「にゃはっ。スキありぃ♪」
忘れた頃にやってきた、蜂楽のキス。
一週間前は“唇にしちゃった!”って心臓壊れるかと思ったけど、頬へのキスだって同レベルでバクバクだ。
「また奪っちった♡」
ニッと微笑む蜂楽。
天使と悪魔が混在してる。
「今夜また、夢の中で逢おうぜ♪」
キザ男風にウインクしながら投げキッスしてふざける蜂楽。
「もーお。バイバイ…気を付けてね。」
蜂楽は、本当に自由だね。
蜂楽のこういうところが私に元気をくれて
私の世界を毎日更新してくれる。
「……頑張って行ってみるか。サッカー部の試合。」