第7章 自由の才能
いつも通り、蜂楽は私と指を絡めながらボールを蹴って歩いていた。
そのボールを、やたらと眼で追ってしまう。
「……ね、廻。」
「んー?」
“なーんか最近、目ぇ付けられちゃってるカンジ。
3年の蝉川ってヤツ。”
蜂楽は気にしてないって言ってたけど、不安が募る。
“あの人”……蝉川と、私の間にあったこと。
それを考えると───とても嫌な気配だ。
「……その人に、いつからいやがらせされてる?」
「んー、ホント最近だよ。GW明けくらいから。」
「もしかして…なんだけど。この間、蝶野くんが見せてきたあの投稿と…なにか関係あるのかな。」
「蝉川が投稿したとか?」
「閲覧しただけかもだけど。廻を目の敵にする理由って、それくらいじゃない?」
「そうでもないよ?俺、サッカー部でちょー浮いてるし。俺のコト気に食わんヤツなんかたくさんいる。」
「そう、なの…?」
人に気に入られるように心血注いで生きてきた私には、絶対に口にできない言葉。
「……廻は、どうして嫌われてまで、サッカーやってるの?」
「そりゃサッカー楽しいから♪周りの目なんてそんな気になる?
でも部活じゃ、正直つまんなくなる時もある。全国いきゃ強くて面白いヤツと出逢えるかもしんないけど。このチームじゃ、たぶん無理っしょ。」