第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢
時計は夜の9時少し前。
家に着くなり、玄関に鞄やアウターをバサッと置き捨てた。
キスしながらアトリエに誘導する。
きっと……いや、頭はぼんやりしてたけど確実に。
あの絵の進捗を見せたかったから。
電気も点けないで抱き合う。
窓から差す月明かりで、ビジュアルが妖艶に映る。
「今夜は私が、廻を抱くから。」
「夢っ、夢ちゃぁん…♡抱い、て…♡」
使い分ける“ちゃん”付けが、なんだかぐっとくる。
優さんは今夜、例の“かいぶつ”の絵を買い取ってくれる美術館から接待を受けている。
“帰り遅くなるね”って言ってたけど、そういう席が苦手な優さんのことだ。
もしかしたら上手いことやって、そろそろ帰ってくるかも。
「(……でも、関係ない。)」
気持ちが昂ってるのか、鎮まってるのか解らない。
けど不思議と、無敵な気分だ。
「廻。今夜は私、エゴイストかも。」
「あぁ…♡いいね、ゾクゾクするぅ…ん、ん…♡」
油絵の具が散らばる床に押し倒してキスする。
月明かりで見えた、髪を乱した廻に抑えが利かない。
色塗りに入ったばかりの、恋人の絵。
そのキャンバスを前に、お互いの服を乱し合う。
「はっ…はぁ♡俺のコト、残さずキレイに食べてね?明日からまた、サッカーだけやれるように…」
明日からまた……あなたは“青い監獄”に囚われる。
だったら何度でもまた、体に刻んであげる───。
「早く、世界一のストライカーになってよ。」
「あっ…あ…♡夢ちゃっ…!」
中途半端に開いたズボンを全部取り払って……
廻の片脚を持ち上げて、ふたりの体を交錯させる。
「ーーっっ♡はあぁっ…深ぁっ…!」
「っっ、めぐ、るぅ…」
メリメリと、膣が雄を飲み込んでいく。
ちょっぴりアブノーマルな騎乗位で……
自分勝手にエゴ散らかすね───。