第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢
顔を上げてみる。
ココの街灯が控え目で良かった。
夜でも明るい広場からの光でぼんやり見える廻は
やっぱり前より大人びてて……
今の私が直視するには、危険すぎる。
“いつか廻が所属するチームのも、日本代表のも!
廻のサッカー人生を楽しくするような、デザインがしたい…!”
私が勝手に決めたこと。
これが私の夢であり、エゴイズム、なの…?
“でもこれ以上、廻を馬鹿にするなら私が相手です。
完膚なきまでに論破して心へし折りますから、覚悟して下さいね…?”
触角さんの時はなんていうか、とにかく必死だった。
でも、自分の中に知らない自分が舞い降りたみたいに、ビビらず口が動いた。
あなたが言うにはこれも、エゴイズム…?
「夢はさ、たぶん色々考えすぎなんだよ。
夢自身の直感とキモチを100パー信じる。そんだけ!」
「廻が言うと、なんか説得力ある。」
「あのさ…“青い監獄”に戻る前に夢に伝えたいコトがあるんだ。
俺も色々考えちゃったけど、やっぱ性に合わないから捻らないで言うね。」
「え?」
3月の海風が、耳を冷やす。
肩に乗せられた手で、私は廻のほうを向かされる。
「俺、世界一のストライカーになるよ。
そんで俺と、ケッコンしてくれっ♡」
廻が取り戻してくれた感情(キモチ)たち。
それを手にした私には、案外簡単なのかも。
真のエゴイストになることは───。
「そんなの当たり前でしょ?世界一も、結婚も。」
「いいね、新生夢!エゴでびゅー♪」
始まった夜のエンタメを横目にして、キスで答えた。
一心同体になれたみたいな、心地良さだった。