第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢
「はあぁぁ…!?ちょ、待って…!?えー…騙された…めっっちゃ怖かったよ!?もう無理っっ!!」
「にゃっははは…!!夢、よっわー♪」
「ううっ、笑いすぎだよ!!免疫ないんだから!!
あれ…でも何故…?超怖かったのに、もう一回乗りたくなるのは何故…!?」
「ザッツ・デズニィーマジック!はいはーい、もっかい並んでみよー♪」
「いやだぁっ…!!でも、足が勝手に向かっちゃう!!何故!?」
「クセんなるっしょ♪」
デズニィーデートの日は、あっという間に訪れた。
小学校卒業のタイミングで来た人生初デズニィーは、おおかた人数合わせで呼ばれただけ。
それ以来の、人生二回目のデズニィー。
中学からは勉強勉強で……
友達いないわ料金高いわで、地元だからって気軽に足を運ぶところではなかった。
前の時は“陸”に行ったけど、今回は“海”のほう。
違った趣きだし、廻と一緒なら長蛇の列に並んだって楽しい時間。
気分が上がっているのが、解る。
「あのー。“青い監獄”の選手の方ですか?」
それでも、楽しくない時間もあった。
列に並んでる時、食べてる時、歩いてる時。
こうやってファンの人から声を掛けられたのは
今日はもう三度目だ。
「わあ…!結構背高いんですね!かっこいいー♡」
「ありがと!“青い監獄”では小っさいほうだけどね。一緒に写真撮ればいい?」
「あ、彼女さんですよね?ネットニュース載ってた!良かったら写真、一緒に入りませんか?」
「ワクワク展開♪夢っ!一緒に写真撮ろ!」
廻のファンの人達と、私が一緒に写真…?
場違いにも程がある。
気遣いでされる、お情け配慮が逆に痛い。
こんな情けない私の顔を、スマホに保存して何が楽しいのか…。