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【ブルーロック】蜂蜜のファーストラブ

第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢





卒業式での答辞は、無事にこなせてほっとした。



順風満帆とはいかない高校生活だったけど……

自分の人生を大きく変える出逢いと、心の奥底で眠っていた夢を呼び起こせた。



何もかも、廻が導いてくれたお陰。




式の後の生徒会室で、熱く交わり合って……


一生忘れられない卒業式になった。







“絵心の話で‘FLOW’っていうのがあって……”




廻をJFUに迎えに行った日、ファミレスで潔くんから聞いた“青い監獄”での話が印象に残ってる。


説明上手な彼の話は、彼らが実際に見聞きした時の強いインパクトがそのまま伝わって来るようだった。




「“FLOW”か…。」




卒業式の夜、ひとりのアトリエで、まだ何も描かれてないキャンバスを前にする。




双眼鏡で観た、U-20戦の廻。


ひとりでゴール前に切り込み、GKと一対一の場面。




“BON!”




声は聞こえないけど、あの瞬間の口の動きがそう言った。

決まりそうで止められてしまったゴールに……

どれだけ心が熱くなったか。





「よし…!」


キャンバスに鉛筆で線を描いていく。




“一日一顔”に描いたあの表情(かお)を


あの瞬間を、私自身の手で彩る。





この日から“BON!”顔の油絵制作に取り掛かった。

油絵は描いたことがないけど、優さんにアドバイスをもらいながら春休み中の“自分課題”にした。




誰かに見せるのが目的じゃない。


でも彼は絶対……自然と眼にするから。




これが私にとっての“挑戦的集中”になるように。


再招集の前には、多少なりとも魅せられるように。


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