第1章 お願い
───でも。
“なんでもお願いを聞く”
そのワードに、不覚にも心動いてしまう私がいたのも事実だった。
「……あの、あなたって…。」
「俺は蜂楽廻!2年でぇす♪」
「ばちら、くん?」
「蜂楽でいーよん♪」
「…よろしく。改めて、蜜浦 夢です。一応この学校の生徒会長で3年。」
「よろしくお願い致しやす♪夢ちゃんでいーい?」
「あ、うん…。」
「夢ちゃんみたいな美人さんが会長なんだね。全然知らなかったよぉ。」
「え?知らなかったの?いつも全校集会で司会してるけど。ていうか、び、美人とか、からかわないでよ…。」
「??美人さんじゃん?それに俺、集会の時はいつも夢の中っす♪」
……もしかしたら、めっちゃ軽い人!!??
勝手に生徒会室入って寝てるあたり不審者だし。
可愛い顔して…新手のチャラ男詐欺かもしれない。
「で、美人会長さんから俺に何かお願いある?」
不意に小動物みたいな顔でじっと見つめられて、“うっ”と声が出そうになる。
確信犯が緩急つけてるのか、それともかなりの天真爛漫か。