第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢
「(待って。待って待って待って……?)」
私と廻は、マスコミに囲まれた。
JFUに着いた途端、バスから急に飛び降りた人に詰め寄られて……
それで廻も、続けてバスから飛び降りたから……
“ーーっっ、廻のバカぁ…!!なんで飛び降りたのっ…!?ケガしたら…どうすんのっ…!?”
必死すぎて、頭が空っぽだった気がする。
“大事な体で、ケンカなんかしないでっ…!”
あの瞬間、愛するあなたしか見えなくて……
人前なのに……ギュッと抱き締めて、キスして。
その結果がこれだ。
文化祭の時、全校生徒の前でした公開キスなんて比じゃない。
全国ニュースになっちゃうって……!!
「三角関係のもつれでしょうか!?」
「違いまーす♪俺と彼女は相思相愛でーす♡」
「士道選手との交際はない、ということでよろしいですね!?」
「えと…あのっ…!それは断じてありませんっ…!」
平常心で答える廻、慌てふためく私。
押し寄せる記者達に距離を詰められ、廻の体がぐっと私に寄ってきた。
「(あれ、廻……)」
気のせい、じゃない。
手の甲に触れた手の甲が、前よりゴツゴツしてる。
「士道(アイツ)は、俺の彼女にちょっかい出してきただけだよ。」
こころなしか……
背、高くなってない……?
声、低くなってない……?
「今ココで、もっかいチューしてみせよっか…♡」
細めた眼で私を見て、顎をクイッと持ち上げる。
ただでさえ女子も羨む色気を携えてたのに……
前よりもっと、悔しいくらい色っぽい……!!
「ーーっっ!!廻っっ!!」
「にゃはは!じょーだんだって♪」
男子三日会わざれば刮目して見よ。
これ以上、廻の二次性徴に気付いてしまったら
ダメだ……キュン死する。