第38章 番外編Ⅱ おめでとう【蜂楽視点】 ✢
生徒会室の引き戸を勢いよく開ける。
夢とふたりきりになれる秘密の場所。
毎日ココに通ってた時みたいに、足取り軽く♪
「廻…!」
卒業証書が入った筒と卒アルを胸に抱えた夢が
キレイな眼に俺を映す。
「夢っ♪」
昼の高い太陽が窓から照りつけて、夢の後ろから逆光が差し込む。
息を飲むほどキレイなキミの姿は……
この部屋で初めて出逢った時と、変わらない───。
「どうしたの、廻?」
俺って多分、ビビッとくるとそれしか見えなくなっちゃうんだ。
その瞬間の直感を、とっても大事にしてるから。
この部屋で初めて出逢った時から……
きっと夢に、カンペキに堕ちてたんだ───。
「夢。好きだよ。愛してる。」
何度伝えても、全然足りないんだ。
もう聞き飽きてると思うけどさ。
何百回でも何万回でも聞いて欲しい大事な言葉。
「ちゃあんと着けてるね。“お月様”。」
「……っ、うん。当たり前でしょ……?」
大股で近寄って、ハグして……
夢のシャツのボタンを2つ外して、
俺が結んだ“束縛の糸”を見て触って確かめた。
“あー、夢だった”って当たり前なのに安心。
渋谷で遊んだ日の夜、アンリちゃんから来たメール。
もう少しで俺はまた“青い監獄”に招集される。
「夢、卒業おめでとう。」
「ありがとう。」
───だから……
今日が、この部屋で逢う最後の日になるから……
「いま生徒会室(ココ)で……夢を抱きたい。」
校則違反くらい、目を瞑ってよ───。