第38章 番外編Ⅱ おめでとう【蜂楽視点】 ✢
「答辞 蜜浦 夢」
夢がステージに上がってスピーチする以外は、
俺は夢の中だった。
タイミング悪いことにすっげー嫌な夢で、マイクで喋った夢の声で起きた瞬間に体がビクッてなった。
『夢ー♪誰とチャットしてんの?』
『士道くん。彼ってカッコいい。廻と違って大人の色気あるし、面白くて女子の扱いが上手。
来週デートすることになっちゃった。』
『は…!?なんで…なんでアイツなの…!?
夢のカレシは俺じゃんっ…!!』
『え…なに?いいじゃんデートくらい。
たまには私のコト、自由にさせてよ…廻。』
そう言って“お月様”ネックレスを外す夢。
そんな、ちょいとリアルで残念な夢。
夢に限ってそんなコトないんだけど。
何かを心配してるワケでもないんだけど。
たまたまみちゃったこの悪夢。
予知夢なワケないけど……気分は最悪。
U-20戦のあと初めて学校に行った俺は、
卒業式が終わった後、取り囲まれた。
「蜂楽、試合ヤバかったな!!お前なら次、ゴール決められるよ!!」
「潔世一のサインって、蜂楽くんに頼める!?」
「次はいつ学校に来るの!?また“青い監獄”行っちゃうのー!?」
今まで俺をバカにしてたヤツらも、面白いくらいに手のひら返し。
手のひら返って、手首捻挫しろ。
俺の居場所はもう、学校(ココ)じゃないんだよ。
お前らクソ群衆(モブ)に、1ミリも興味ない。
「俺、カノジョと約束あるから。」
あの変な夢のせいで、今は機嫌が悪いんだ。