第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
「ドリンクバー4つ、おねがいしまーす♪」
蜂楽と士道の一触即発は、事なきを得た。
今……蜂楽と彼女、俺と千切の4人で
近くのファミレスに来ている───。
「ご心配かけて、本当にすいませんでしたっ!!
ほらっ、廻も謝る!」
「だいじょーぶだって。潔と千切りん怒ってないよ?それに、悪いのはあの触角でしょー。」
ふてくされ気味に言う蜂楽。
このふたりを見てると正直、姉弟みたいにも感じる。
「あの、ホント気にしないで下さい!むしろふたりのラブラブなとこ見れてラッキーっていうか…!な?千切!」
「ははっ、だな。それより蜂楽、彼女にあんま無理させんなよ?」
「させてないよ♪助けに入ったつもりだったけど、やっぱ夢はすっげー強いや!ひとりで害虫撃退しちゃった!」
それは納得だ。
女子って普通、ああゆう場面では怯むんだと思う。
「体が勝手に動いちゃって…周りが見えてなくて…恥ずかしい、です…。」
普段はこういう、物腰穏やかな感じなんだな。
あの唐突なキスにはびっくりした。
つか知ってるヤツがキスしてるのなんか初めて見た。
赤くなる蜂楽の彼女、蜜浦 夢さん。
ついさっきもこうやって……頬を赤らめてた。
✢✢✢
バスから降りた俺達を、カメラのどぎついフラッシュが出迎えた。
『潔選手!一夜明け改めて昨日の試合のご感想をお聞かせください!』
『え…あっ、はい…!まだ、ドキドキしてます…。』
俺も、俺以外も、ボイスレコーダーを向けられた。
蜂楽と蜜浦さんも記者達に取り囲まれていた。