第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
「……夢……」
一瞬のことだった。
士道が開けた窓から、蜂楽が飛び降りたのは───。
「蜂楽ぁ!?やめろっ…!!何してんだお前…!?」
俺が叫び終わる時には、既にシュタッと着地してた。
「ひゃっ!?え、え……!?廻……!?」
「夢」
バスの中の俺達は、ほぼ全員が片側に貼り付く。
二子ですらオーディエンスになってた程だ。
心底興味のなさそうな凛、凪、馬狼あたりは、ため息つきながらマイペースを貫いてたけど。
「やるじゃねーの、ドリブル小僧。おんやぁ?なーんで激おこプンプン丸?」
「それ死語な、発情悪魔。俺の夢に汚ねぇ手で触んな。アプデしてない脳ミソごとブチ壊すぞ。」
彼女を触る士道の手をバシッと払いのける蜂楽。
國神を誹謗された時みたいに、手をポキポキ鳴らす。
「あーらこのベッピンさん、お前のだったの?
釣り合わなくなーい?もう耳タコでちゅか?」
「お前とはまだ決着つけてなかったね。今ココで
戦(ヤ)るってコトで…ファイナルアンサー?」
「死語再び。ファイナルアンサーて…♪」
「お前の古スペックに合わせてやったんだよ触角。」
バチバチと火花を散らす蜂楽と士道。
対暴動用の電気ショックでもあれば話は別だけど…。
「と、止めたほうが良くね…?」
「僕ら皆で行かへん?マスコミの人達も居てはるし、あのふたり止めんの骨折れそうやわ。」
「そらそうだっぺ!!俺も行くっす!!」
俺、氷織、七星が席を立つと、事態は急転する。